インドって東南アジア?

デリー大学留学中。ヒンディー語の能力向上、インドを知り、自分を見直すためのTHE自己満ブログ。

「隣だと心配性、離れると愛」

この世に生きとし生ける母親の殆どが備える「心配性」という特性を自分の母親もまた備えているが、「心配性」は「反抗期」とすこぶる相性が悪く、高校以降、家で毎日階上から行われる鍵と携帯の確認は形骸化しつつあった。結局機嫌が悪くて返事をしないときに限ってどちらかを忘れる自分への怒りは、なぜか反抗期に油を注ぐのである。

 

日本出発前、この「心配性」な母親は、慣れないインターネットでインドの大気がとにかく汚いと知るや否や、しめて百枚を超える大量のマスクを息子のスーツケースに押し込もうとした。「薄学」と「心配性」は相性が良い。インド人は日本人と違って普段からマスクはしないんだよ、という意見は、肺がんになるかもしれないよ、という結論の出ないずるい可能性論に負け、それなりのスペースがスーツケースに割かれたのだった。

 

今日の記事⇒9/30, 2018 Dainik jagran「デリーを大気汚染から解放するための方法、これらは“Smog Project”によって起こる」

 

(引用・懲りずにガバガバ翻訳)

「世界で最も汚染された都市に数えられるインドの首都デリーの大気をきれいにするために、ドバイを拠点とする建設会社Genera Spaceは、その大志を叶える計画を提案した。World Architecture Festival 2018のExperimental―Future Projectの部門のもとで、“Smog Project”という名のこの計画が選ばれたのである。この計画の中では、各都市に328フィートのタワーがいくつか作られ、そのタワーの中から毎日3憶5000万立方フィートのきれいな大気が生み出される。最大のポイントは、このタワーの機能は太陽光・水素電池によって動かされるということだ。はじめはデリーにおいてこのタワーが建設される計画で、その後残りの都市にも建設される。」

 

加えて、記事によれば、2016年には北京で23フィートの高さをもち、毎日2500万立方フィートの大気が生み出される同様なタワーが作られたとのことで、現在ではベルリンにも建設予定があるということである。で、デリーの大気の状況は。

 

「大気におけるPM2.5粒子は単純に激増してしまっている。2017年12月におけるデリーの大気の質は、デリーで呼吸することが44本のたばこを吸うことと同じほど悪かったのである。インドの大体の都市にはまさにこのような毒ガス室が作られているのだ。世界で最も汚い15の都市のうち、14がインドの都市である」

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でかした母上、こんなに汚いとは想像以上だった。具体的なタワーの仕組みは。

 

「タワーの一番下の部分では汚染された空気を中に吸い込む。この空気は5つの段階を踏みながら綺麗にされる。これらの段階を経て大気からは大気に生じた粒子を吸い込むのである。汚れた空気を上方向に送り、そこからその空気がある特別なタイプのフィルターを通る中で、バクテリアとウイルスは取り除かれる。この後、大気に放出されるのだ。」

「これらのタワーは汚染された大気を吸い込んできれいな空気を大気に放出するだけではなく、大気に存在する炭素を集める。この炭素は、グラフェン、コンクリート、肥料、また水をきれいにするために用いられ得る。バンガロールにおいては、以前からある会社が空気から集めた炭素の粒子によってインクを作っている。」

 

苦手なテクノロジー系の話に向き合おうとしたが、文系には規模が大きすぎて夢物語感がえげつないので、理系には「そんな手があったか」と感嘆していただきたい。書くまでもなく、そして毎度のごとく、べらぼうに高そうな費用問題は付随するにしろ、「世界で大気が汚い都市ベスト15」のうち14都市をしめるインドではこんなに素晴らしい話はあるまい。このタワーは完成までにしめて3年はかかるというから、自分がデリーに滞在する1年は、もしや「マスク必須」なのか。もしや「心配性」の勝ちなのか。

 

思い返せば、「心配性」の母の提言を無視すると決まって悪い方向に転ずるのである。中学2年、自我MAXのときに母の提言を無視して買った赤いアウターは今見ると還暦のちゃんちゃんこだし、高校受験のときに母の提言を無視しながら焦って書いた願書は書き直す羽目になった。つい最近も、母の提言「確認してゆっくり」を無視して焦って予約したデリーへの航空券は、出発予定より2週間も早い2日後のものになっていて、変更に2万円を要したのであった。

 

そんなに口は利かず、そのくせたくさん喧嘩はしたが、20年も一緒に暮らしていたから、この「心配性」から少し離れるだけで想像以上に心細く、さびしくなる。

 

先週はじめてひとりでカレーを作った。

いつだったか「カレーは作るのが簡単だから助かるよ」と母が言ったのを聞いたから、何が食べたいか聞かれて、母が忙しそうなときはカレー、と答えることが多かった。

 

嘘じゃないか。カレー作るの、意外と面倒くさいじゃないか。

次はただの野菜炒めをリクエストしよう。いつも俺を支えてくれる「心配性」に免じて。

 

(元記事:https://m.jagran.com/news/ncr-now-delhi-polluted-air-will-change-in-clean-air-by-smog-project-jagran-special-18480486.html