インドって東南アジア?

デリー大学留学中。ヒンディー語の能力向上、インドを知り、自分を見直すためのTHE自己満。見たくない人は見なくて結構。

「ゆめのはなし」

インドといえばターバンを思い浮かべる人が多いけれど、実はターバンを着けているのはシク教徒だけなんですね、シク教徒はインド人口でも少数派の方なんですよ。こんな知識は、こすりにこすられた薄すぎるインド知識であって誰でも知っていることだが、普通の会話ではこのレベルを言及するくらいがちょうど良いのかもしれないと思う。シク教は誤りで、正しくはスィク教なんですよ、まで言及すると十中八九引かれる。そんなこと一般的にはどっちでもいいことだからである。

 

昨日、いつものように寝る前に「今日の記事」を訳して、スマートフォンを見て寝た。そしてそのときFacebookで友達がシェアしていた記事と、自分が訳した記事に影響を受けて、怖い夢を見た。いつも前を通ると飛び起きて吠える犬が夢では起きずに横たわっていた。家の周りが燃えていて滅茶苦茶暑くて、いつも優しい、隣に住む大家さんが殺されていた。アイロン屋のインド人が俺になぜか日本語で隠れるように指示した。爆音が聞こえた。昨日の夜見た、友達がシェアした記事は「対シク教徒暴動」についてで、1984年の昨日、インドはそういう日だった。

 

今日の記事⇒10/31, 2018 Dainik jagran「弾道ミサイル、アグニ(火)1号の実験成功に伴って原子爆弾を投下し得る」

(全文だけどガバガバ翻訳)

「今週火曜日の夜に、インドは、核兵器を運ぶ能力を持つ国産の弾道ミサイル・アグニ1号の発射実験を成功させた。このミサイルは、700キロの距離までの標的を射得る」

「インド軍筋によれば、統括部は、計画の準備を強固にするため、アブドゥル・カラーム博士に、島からのミサイル実験をさせたということである。インド軍筋は、実験の間、すべての目標が達成されたとも述べる」

「この攻撃力はかなり大きく、数百キロの道のりを超えて、標的を破壊し得る。国産の弾道ミサイル・アグニ1号の、成功に終わった発射実験は、オリッサ州において火曜日の夜に行われたということだ」

「付記したいのは、大陸間弾道ミサイル・アグニ5号の実験も、インドは既に成功しているということだ。防衛研究開発機構(DRDI)によって作られたアグニ5号が、軍で一番発達したバージョンである」

自己防衛や抑止力のために核やミサイルは必要不可欠だという考えは良くわかり、自分もどちらかといえば賛成の立場だ。日本は唯一の被爆国として、核兵器を持たないことを頑なに守ろうとするが、自分は持っても良いと思う。使わなければ良い話で、抑止力として自分の大切な人たちが守られるなら、それも立派な政策だ。だからインドのこの実験に対して、平和を壊すな、などとほっそい一本槍で否定するつもりは毛頭ない、と昨日の夜までは書こうと思っていた。

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1984年の今日。いつの時代も、どんな分野でも、人口は力だ。だから多数派のヒンドゥー教徒とイスラーム教徒が南アジアで幅を利かせていて、少数派のシク教徒は日陰にいるということもあったのだろう。そもそもシク教は、ヒンドゥー教とイスラーム教のどちらにも影響を受けた宗教で、かつ同時に両者に反して生まれた宗教でもあって、そんな立ち位置が故の被害も少なくない。そして1984年11月2日もそうだったのかもしれない。34年前の昨日、シク教徒の虐殺が始まり、34年前の今日も死者は増え続けた。この虐殺は34年前の一昨日にインディラ・ガーンディー首相暗殺がシク教徒のボディーガードによってなされたことに起因し、その報復として、ここぞとばかりにアンチ・シク教徒のヒンドゥー教徒らによって行われたもので、これによって8000人もの罪のないシク教徒が殺され、その何倍ものシク教徒が負傷したり、家を燃やされたりしたのだった。

 

夢から覚めても、このインドのミサイル実験を否定するつもりはやはり毛頭ない。パーキスターンや中国に対抗しなければいけない状況下で必要なものは仕方がない。インドの偉くて、頭が良い人が出した結論で、自分が言えることは何もない。ただ、俺が見た夢は、過去大勢が死んだちょうどその日に、大勢を殺すものが出来上がったことを異常に重く感じさせた。夢は夢で、今日大家さんにはきっちり家賃をとられ、相変わらず家の前の犬は俺を敵視し、もう慣れろよと思わせた。だが1984年と2018年の昨日の出来事は夢でなく確かに事実で、この重さは、まるで自分の夢のように、誰かの大切なものを壊し燃やし得る責任の重さだと思ったりした。この日常を壊し得るものは何であっても悪だとすら思えたりした。

 

力を持つなら責任も伴わなければならない。力を追い求めると同時に、責任も振り返らなければならない。それはどんな分野でもそうだ。リレーメンバー補欠、生徒会会計。学校すら背負う力もないぶん、責任もなかった自分は気楽だった。それにしてもこのシク教徒の歴史知識は深すぎる。これをひけらかしても十中八九引かれよう。

 

(元記事:https://www.jagran.com/news/national-agni1-ballistic-missile-successfully-tested-18592030.html