インドって東南アジア?

デリー大学留学中。ヒンディー語の能力向上、インドを知り、自分を見直すためのTHE自己満。見たくない人は見なくて結構。

「表裏」

前回の記事から時間が空いたのはインターンの出張が多忙すぎたからだが、それでも「三日坊主」というパワプロの赤特殊能力にあってもおかしくない習性が自分に邪魔を仕掛けたのは事実で、ずるずると日が過ぎ、よしやろうと思った昨日に限って、野犬に噛まれて注射行脚を余儀なくされるのだから、パワプロ同様この習性を消すのは意志だけではどうしようもなく、神の思し召しに頼るほかないように思えてならない。

 

吉凶禍福は糾える縄のごとし。人間万事塞翁が馬。好事魔多し。それぞれ意味は違えど、良いこと、悪いことだけではいかないことを表していて、長い人生で見ればそりゃ幸も不幸もあって当然だと思えたりするけれど、良いことがあってもこれで兜の緒を締めたり、悪いことがあっても切り替えられたりするのだから納得した風にいた方がいいのだろう、こう思うことすら、神の幸、不幸の割り振りに文句を言わせないようにする神の戦略であったりするかもしれない。奨学金を貰った次の日に野犬に噛まれる。不思議なものだ。

 

今日の記事⇒11/18, 2018 Dainik jagran「8か月前の列車によって轢かれ死んだ人が生き返った」

(全文・久しぶりのガバガバ翻訳)

「8か月前、ヒーラーナガルにおいて列車に轢かれ死んでしまい、家族たちがそれを受け入れたのち火葬しつくされた青年が、突然生きて帰って来た。このような状況の中で、結局列車事故の犠牲になった青年は誰だったのかという疑問が生じる。一方で、県の総監、ラーフル・ヤーダヴの指示で、医師たちのチームは遺体を墓穴から取り出し、サンプルを採取して、DNA鑑定のためにFSMに送った」

「鉄道警察は、ヒーラーナガル鉄道線路で3月9日、身元不明の遺体を発見した。警察は遺体を、身元判別のために、地元の病院に安置させた。この後、メーンダル・タへシールに住む一家が遺体の身元を自身の息子、ムズミルとした。しかし今、8か月が経ってムズミルは戻ってきた」

「ムズミルを見て、村人たち、そして家族たちですら気が動転してしまった。ムズミルは、仕事の関係で村外に出ていて、それによって家族のメンバーに連絡出来なかったという。このあと、鉄道警察はメーンダルに到着した。すべての陳述を集めたあと、鉄道警察は県の総監に対し遺体のDNAサンプルを採取する申請をした。もし誰かが遺体の身元を主張した場合、DNAを照合できるように、である。この後で総監は、遺体を墓穴から出し、DNAのサンプルを採取する指示をしたのであった」

インドの各所のずさんさが表れた面白い記事だ。遺体が判別できないほどひどい状況ならば、DNA検査をして結論を出すのが通常のやり方だろう、これはもう全国共通で。仕事の関係で村外に出ていて連絡できなかったことからは地方との通信技術の格差を感じさせるように思えるし、埋めてからそれを掘り起こしてサンプルを取るのもやばい対応に思える。だが何より無念なのはこの遺体だろう。

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幸と不幸。表と裏があるように、この事件の裏には火葬され埋葬された遺体がある。家族のもとに、死んだと思った息子が戻ってきた。なんと喜ばしい。その裏には、知らない青年に間違われ、嘆かれ、焼かれ、埋められるまで自分はその青年じゃないと叫ぶことすらできなかったもう一人の青年がいる。最後の姿を見ることもなく、焼かれてしばらく埋められていた我が子を見なければならない親が出てくる。この表裏は間違いなく、ずさんな確認によって生まれたものだ。適切な確認があったのなら、轢かれてしまった悲しみはあっても、余分な表裏は生まれなかった。面白い勘違いでは済まない。

 

近くで男の子が轢かれて亡くなったんですって。良い子だったのに可哀想ねえ。お父さんもお母さんも泣いてたわよ。そりゃそうよねえ。突然息子がいなくなってしまうんですもんねえ。あたしだったら絶対おかしくなってしまうわ。こんな話してたら声聞きたくなっちゃったわよ、いつも喧嘩ばっかりするのにねえ。じゃあね、帰ったらすぐ電話しようっと。

 

電話は一生繋がらない。

 

(元記事:https://www.jagran.com/news/national-man-returned-after-8-month-of-his-death-18649605.html