インドって東南アジア?

デリー大学留学中。ヒンディー語の能力向上、インドを知り、自分を見直すためのTHE自己満。見たくない人は見なくて結構。

「劇場」

一番好きな文学作品を聞く質問は、センスや教養を問われているようで、いつも答えに詰まる。自分をセンス良く見せるなら、この質問にベストセラーを答えるのは論外、芸能人が著した作品もすれすれ、文学への知識の浅さを露呈してしまうから避けるべきなのだが、どう考えても自分が一番好きな作品は、又吉直樹の『劇場』で揺るぎない。

 

何回読み返したかわからない。『劇場』の序盤にこんな一説がある。

「右のポケットが振動し、携帯をひらくと「ごめん!全然暇なんだけど!」という文面だった。それを目にした瞬間、頬肉が溶けてしまうあの感覚。ドブにあごまで浸かっているかのように身体が重たくなった。現実の痛みは常に予想を凌駕する」

主人公は、メールで「暇だったら来てほしい」とデートに誘い、この返信を得、そして落胆したのだ。

 

今日の記事⇒10/28, 2018 Dainik jagran「安倍晋三と抱擁したあと、PMモーディーは特別な贈り物を送った。さて何を送ったのか」

(引用・ガバガバ翻訳)

「インド連邦首相ナレーンドラ・モーディーは2日に渡る視察のため、土曜日に日本に到着した。そして山梨県で日本の首相、安倍晋三と面会した。富士山のホテルでの面会の間、モーディーは安倍晋三に、インドから運ばれた特別な贈り物を贈った」

モーディーが来日し、安倍総理と会談したことは日本のメディアでも比較的大きく報道されていたと思うが、この記事は来日の際、安倍総理に贈った贈り物について。

「インド連邦首相ナレーンドラ・モーディーは、日本の首相安倍晋三に、ウッタル・プラデーシュ州のミルジャープルの職工たちによる手作りのダリー(注・厚手の綿織物)、バラ色の水晶と黄色の水晶2つの手作りのカトーラー(注・お椀的なやつ)を贈った。これは、特別にインド・日本の例年の首脳会談のための、日本への旅程の機会に準備されたものである」

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綺麗。

安倍晋三は、インド連邦首相ナレーンドラ・モーディーを、列車で山梨県にある自身の私邸に連れて行った。東京から山梨の距離は110㎞である。この地域は、富士山のいくつかの山々に囲まれている。富士山は日本で一番高い山で、その高さは3776ⅿである」

この会談の概要と目的については以下の通り。

インド・日本の毎年の会談においては、インド太平洋地域の相互の協力を増す話をするようである。他国の共同インフラ整備プロジェクトとともに防衛協力を増大させることに力を入れることになる。両国の間ではAIUAB、そしてロボット技術の発展も増やす展望もある。連邦首相になった後、モーディーは安倍との間で、これが12回目の会談となる」

「インド連邦首相ナレーンドラ・モーディーは金曜日に出した声明で、日本を経済・技術分野で一番信用できるパートナーだという。モーディーは、Act East Policyに基づいてインドが太平洋地域において、自治権と開放のために決断すると述べる。モーディーは日本と共に商業を活発にすることをめぐって、安倍晋三、ビジネスリーダーと共に話をする予定だ。これによってヘルスケア、デジタルテクノロジー、農業、食品加工、災害の脅威を減らす対策建設の分野でも協力を得ることになる」

日本もインドも、中国を脅威に感じている国であって、この会談によってインドと日本が様々な分野で協力し、中国に対抗する枠組みを作るという意味がある。インドにおける鉄道敷設に日本が協力したように、今後は様々な場面で日本が活躍するだろう。

安倍総理は自身の別荘にモーディーを招いてふたりきりでご飯を食べたそうだが、有意義な会話が出来ていたら良いと心から思う。自分と異なる点が多ければ多いほど、表現とその受け取りに食い違いが生じやすく、ふたりの地位を鑑みれば、食い違いが生じ得る結果はこわいから、仲がいいのは結構なことだが、ふたりきりとは名ばかりで通訳も一緒にご飯を食べていて欲しい。

 

先日仲良くなったインド人の子と出かけ、SNSで会話をしていたとき、食い違いを生じさせそうになった。その子は日本語を勉強しているが、まだ拙い。その子の「またどこかで」。この返信が日本語特有の拒絶の形を心得たが故なのか、ただの言葉足らずなのか、即座に判断するのは難しい。こんなふうに、場合によっては逆の結果を招くかもしれない食い違いが、異国、異性…様々な「異」故に溢れるのは当然だとわかっているにしても、「異」に向き合うのもそれはそれで怖く、その怖さに向き合うくらいなら、関係を断ち切った方がましだと思ったりして、その別学出身的な内気思考が「異」を断ち、望まない結果と後悔を残したりしてきた。

 

『劇場』では、主人公が「異」を断ち、こう返信する。

「今まで色々とご迷惑をお掛けしました。いつかお会い出来ましたら珈琲代をお返しします。どうぞお元気で」するとこう返信が返ってくる。

「違うよ!ぜひってことだよ!明日、昼以降は空いてるよ」

これもやはり、表現の食い違いだったのである。ただ食い違いが直せるこんな相手だったら、食い違いもまあ悪くない。ここから物語が始まる。

 

(元記事:https://www.jagran.com/politics/national-pm-narendra-modi-presented-japanese-pm-shinzo-abe-two-handcrafted-stone-bowls-and-hand-woven-dhurries-18581105.html

(引用:『新潮2017年4月号』「劇場」又吉直樹著、26、27項)