「目指すはポケモンの世界」
兄弟は不平等で、兄は大体損な側だ。嫌なことは先を強いられ、楽しいことは後を強いられる。注射は兄が先、ムシキングは兄が後。知らない人への挨拶は兄が先、電車で席が空いても兄は後。兄がファイアーレッドになるのは弟がリーフグリーンを選ぶからである。
でも誇り高き兄は、これに異を唱えることが殆ど出来やしない。覆せないことを騒ぐと格好が悪い。兄は弟に実寸より数センチでも大きな背中を見せようとするもので、かくして兄には一生茨の道が続くことになる。
今日の記事⇒10/2, 2018 Dainik jagran「果物屋を営む人生を楽しむマムター」
(引用・またもガバガバ翻訳)
「息子たちだけが家族の責務を担い得る、この考え方はすっかり変わった。将来ある娘たちは今、この伝統を壊し始めたのである。彼女たちはただ進んで家族を手伝っているだけではなく、また勉強をもしている。ムハンマダーバード地域のラットゥーディーフ・モールで果物の店を経営するマムターもまたこのような一人であり、果物屋を経営して、自分と家族の人生を楽しいものにしているところだ。彼女は一日中これに激動に費やす。しかしこれだけでなく、その間に近くの大学で、学士過程の勉強もしているのである」
見上げた娘である。記事によれば、マムターは、6番目の娘だが、上の5人の娘は結婚してしまい、下3人の弟と妹はまだ小さい。
「家族を養うために、父親はラットゥーディーフ・モールで果物屋を営んでいる。年配の父親にとって、店を経営するのは難しかった。そして弟たちはその責任を負うには小さすぎた。このような中で、家族の前に食べていく困難が立ちふさがったのだった。マムターは、店の経営の責務を負うために準備をすること、店に腰を据えることに躊躇を見せなかった」
「娘が店の経営者となることへの躊躇に関する質問に対しては、初めのうちはいくぶんかめちゃくちゃなようにも感じていたというが、しかし今となっては、全く躊躇はない、と答える。彼女は軽々と店を経営している。マムターによって、彼女の店には女性客も多く訪れる。マムターは、今、世界は21世紀で、女性たちが宇宙から始まってスポーツや管理職のポストにいると認める。このような中で彼女は前に進むことを全く躊躇する必要はない。自立することこそが今求められるのである」
日本はこういった「男女平等」に関して後進国だから、女性が家業を継ぐということは、日本でもまだそう多くはない気がする。インドでは今女性差別を是正する法案が続々と可決されていて、男女平等に関する世間の関心も高い。そんな中、「世界には活躍する女性がたくさんいるのだから、自分も既成概念に負けずに前進するのだ」力強い言葉だ。不平等は勿論あってはならないけれど、インドにまだまだ不平等が存在するそんな中でも、ひたすらもがき、行動し、茨の道を進む姿はより美しい。
YouTubeを見ていた。どこかの男性ラッパーが、女性が虐げられがちなヒップホップの世界への文句をわめくだけの女性ラッパーにこう言い放っていた。
「女のくせに文句ばかり情けない。俺が女だったら女を生かしてもっと売れていた」
これは不平等の存在自体を否定したのではあるまい。不平等な世界は、言葉だけじゃ変わりはしないということ。
不平等が溢れる世界の中で、平等が叫ばれるのは至極当然なこと、そして少しでも多くの平等を生むためには至極必然なこと。しかし行動が伴わない叫びは格好が悪い。
始まりがマイナスだからこそ、覆すことがより評価されることもある。より大きな背中を見せることもある。マイナスを覆すことができなくても、行動を伴った挑戦は誰かが見ている。
弟の前で、無様に痛みに泣き叫んだって、看護師さんは頑張ったね、と褒めてくれた。弟の前で、緊張して上手く挨拶が出来なくたって、今も名前を思い出せないおじさんは優しく微笑んでくれた。これは兄弟間の不平等を是正することに繋がらなかったかもしれない。
でもそうやって、世の兄がそうであるように、弟に少しでも大きな背中を見せようともがいて、そして成長してきた。この記事は、結果はどうあれ、恵まれない環境でも、文句を言うだけじゃなく、挑戦することや行動することは何かを生むと感じさせる。
ただ、俺のファイアーレッドがチャンピオンロード止まりで、弟がリーフグリーンを全クリしたのは不平等が故ではない。ポケモンはいつだって平等なのである。